天空のリング
<537回>
いやはや、日本のマスコミはどうしたものでしょうね。民主党のドタバタに振り回され、結局は異口同音に投票になって良かった、議論を戦わすべきだ、などと言っている。政策なき政権運営と理念なきマニフェストとで議論したって、どうしようもない。選んだ国民が悪かった、ここは総選挙にすべきだとか言ってみろ。政治空白が出来ようが、このままじゃ日本の未来はより暗い。日本共同体は既に崩壊しているのに、その概念にしがみ付き、自分たちだけが、そのオピニオンリーダーだと云う幻想を捨て切れないマスコミには、ほとほと呆れ返るばかりである。なんてね、民主党の件はもうどうしようもなく、言うべき言葉が見付からないので、Paul Melko の「SINGULARITY'S RING(天空のリング)」(金子浩訳、2010年8月15日発行、ハヤカワ文庫)でも紹介しようと、その前振りに使っただけなのですがね。
<共同体>が突然に消えた地球を描く「天空のリング」である。<共同体>と云うのは、60億人の人類が参加したコンピューター・ネットワーク社会のことなのだが、それが数十年前に突然に<大移住>をしたらしい。残された人類は<ポッド(小群)>と呼ばれる者と<独人>とに分かれた。<ポッド>は2人~5人の集団で成り立ち、まるで一人の人間であるかのように行動する。フェロモンで会話し、手首のパッドに触れ合うことによって記憶や感情を共有する<ポッド>達。遺伝子工学的改造の結果なので、少々気味が悪いが、面白い発想である。もしかしたら、動物の群れはそうなのかもしれない。この物語は、その<ポッド>の一組<アポロ・パパドプロス>の冒険を描いている。<アポロ>の構成員ストロム、メダ、クアント、マニュエル、モイラ5人の各視点で物語は進む。<大移住>に参加しそこなった<共同体>最後の構成員マルコム・レトとの出会いが彼らに何をもたらしたのか。<共同体>が作った無人の<リング>-地球をぐるりと取り巻く宇宙ステーション-は何を意味するのか。リングと云うと、「リングワールド」を思い出すが、趣の全く違う物語。
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