かのこちゃんとマドレーヌ夫人
<533回>
時代が変わる。なんとなく、そんな気がする。何も宇宙人のせいだけではない。細野豪志など民主党若手と言われる面々の言動を見ていると、日本も終わったなと云う気がするのは私だけだろうか。まァ、そんなことどうでもいいのかもしれない。昨日からiPadなんてものをいじっている。確かに便利である。便利なだけが全てに優先するものでもないなんて言っても、それもまたしょうがない。私たちは人の痛みが分かるのだなどと云う人たちと一緒にされてもかなわない。優しさもまた複雑なもの。そんな気分の時に読むと不思議に温かい気持ちにさせてくれるのが、万城目学氏の「かのこちゃんとマドレーヌ夫人」(2010年1月25日初版第1刷発行、ちくまプリマー新書)である。
かのこちゃんは小学一年生。すずちゃんという同級生とお友達になる。その二人の間の感情の流れは遠い昔に忘れたものを思い出させる。それはそれとして、なんと言ってもマドレーヌ夫人である。マドレーヌ夫人は猫である。いわゆるアカトラの淡い茶色がかった猫である。話は、このマドレーヌ夫人を含めた猫たちの集会風景から始まる。猫たちと人との係わり、マドレーヌ夫人とかのこちゃんとの淡い係わり、なんだかとても好い。また、マドレーヌ夫人と一見して年老いたとわかる柴犬の玄三郎との関係が柔らかい。二匹がそろってあくびしている写真が最後となるのだが、お互いに理解すると云うのは、こういうことなのかなと思わせる。昨年死んだ柴犬の光五郎とオーバーラップしているのかもしれないが、様々な出会いを考えさせられる作品になっている。
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