タイムアウト
<522回>
後世の人たちはどう思うのだろうか。何が?って。それは日本の歴史ですよ。多分、途中で日本人は全て、他の種族と入れ替わったに違いないと思うかもしれません。これほどブレの大きな国民も珍しいに違いない。まァ、何処の国でも変化はあるものですが、もう少しスパンが長いような気がします。言うことがコロコロ変わる政治屋の皆さんや宇宙人は別として、皆さんのお隣の方は本当に今までの方ですか?もしかすると、昨日の彼、彼女じゃないかもしれませんよ。なんて話を前振りにすると、SFのようですが、そうでもないところが面白い。今日は、David Elyの「Time Out(タイムアウト)」(白須清美訳、2010年1月20日初版発行、河出文庫)のご紹介。
英国の歴史を専攻分野とするアメリカ人のガル教授は、人文学的調査団に加わり初めてイギリスへ行くこととなった。しかし、それは人文学的調査団ではなかった。ガル教授が最後に「それは歴史の判断を俟たなければならない」と言うのだが、その意味は通念的なものとは違う。歴史とは何かをアイロニーを込めて考えさせる「タイムアウト」。この作品だけでも十分買う価値のある本だが、この他、「理想の学校」、「隣人たち」、「大佐の災難」など全15篇が収められている。どの作品も日常に潜む僅かな軋みやズレを巧みに増幅し描き出している。私も初めて読んだ作家である。設定は若干古いものの、そこに描かれた問題点がいまなお現代社会の根底にあることを感じさせる作品である。
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