幻想

魚舟・獣舟

 夜は過ごし易いものの、日中はかなり蒸し暑い。背広姿で歩いちゃいけません。一昨日は背中が汗でびっしょり。こんな時には少々ぞっとするような話でも紹介するここと致しましょう。なんて言いながら、前回から未だに悩んでいる。どれにしようかなァ。考えると冷たい風が首筋に当るような世界を描くSFにしようか。夢と現の間に彷徨う幽界を描く幻想作品にしようか。さてと、どちらにいたしましょう。色々悩んでもしょうがない。夏も終わりそうだし、出し惜しんでもね。ここは、両方いっちまえと云うことで、4作品をご紹介。いやぁ、夏物在庫一掃セールじゃございません。

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草祭

梅の花が咲いている。愈々もって鬱陶しい季節だ。おっと、梅の花に申し訳ないな。鬱陶しいことと梅の花とは関係がない。海の向こうから飛んできたものが問題なのだ。鬱陶しい時には本の紹介でもしよう。原稿の校正は後回し。「邪魅の雫」(京極夏彦著、2006年9月26日第一刷発行、講談社NOVELS)の中で、中禅寺が書評について語り、「まあ-最初のは粗筋を書いたりするだけの紹介記事だね。こりゃ評でも何でもないから、読み書きが出来れば犬にでも書ける」なんて言っている。私の場合は、粗筋もないので、犬以外の何者かだったりする訳だが、一体何だろう。惹き付けられるからといって、「美奥」に現れる不可思議なものとは違う。

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不連続の世界

オリンピックも今日までか。ソフトボールは素晴らしかったが、正式種目最後だというのに野球があれじゃなァ…、残念。「ラストゲーム」(最後の早慶戦)が昨日公開された。「野球(ベースボール)- 生きて我が家(ホーム)に還るスポーツ」とは真に考えさせられる言葉である。私は早慶卒ではないが、大変に感激させられた。野球の映画と言えば、ケヴィン・コスナーの「フィールド・オブ・ドリームス(Field of Dreams)」や「さよならゲーム(Bull Durham)」、ロバート・レッドフォードの「ナチュラル(The Natural)」などいずれも好かった。趣を相当に異にするが、「ラストゲーム」も好い映画だ。こんなことを書きながら、紹介するのは恩田陸さんの「不連続の世界」(2008年7月30日第1刷発行、幻冬舎)である。不連続と云うことで許してもらうことにしよう。

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秋の牢獄

急に寒くなり、漸く秋らしくなった。「秋は夕暮」と清少納言は枕草子で書いている。月周回衛星「かぐや」から見た地球を見たり、昨夜の月など見ていると、やはり「秋は夜中」かなとも思う。火星も大接近している。などと思いつつ、海堂尊氏の「夢見る黄金地球儀」の紹介をしようかと思ったが、ここは直裁に「秋」に関係した題名の「秋の牢獄」(恒川光太郎氏著、平成十九年十月三十一日初版発行、角川書店)を紹介することにした。10月27日から11月9日は読書週間だったのだが、日本人の本離れは相当酷い状況のようだ。氾濫するメールなどで日本はどうなっていくことやら。画面しか見ない孤独な人が増えていくのだろうか。

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朝日のようにさわやかに

W・Mがトランペットで奏でる「朝日のようにさわやかに」。ダークグリーンのグロールシュの壜。緑色のタイル。緑の壁。そして想像と真実との乖離。音は奇妙な伝わり方をし、朝露のように現実と幻の間を通り過ぎていく。そんな不思議な感覚の「朝日のようにさわやかに」のほか、何処かで何かに繋がっているような短編14篇を収めた恩田陸さんの「朝日のようにさわやかに」(新潮社、2007年3月30日発行)。「水晶の夜 翡翠の朝」で始まり、「朝日のようにさわやかに」で終わる。私の朝とは随分と違う。

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雷の季節の終わりに

昨日の冷たい雨が嘘のようだ。今日はやっと秋が来たような按配である。「秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる」(藤原敏行)なんて今頃考えてしまう。まァ、晴れているのは良い事だ(今日は1953、53なのだから。解らないでしょう、笑)。良い事なので、一つジョークでも紹介しよう。早坂隆氏の「世界の日本人ジョーク集」(2006年1月10日初版、中公新書)からの抜粋である(少々端折っている)。「豪華客船が沈みだし、船長が外国人乗客に指示した。アメリカ人には、飛び込めばあなたは英雄ですよ。ドイツ人には、飛び込むのが規則となっています。フランス人には、飛び込まないで下さい。日本人には、みんな飛び込んでますよ。」だとさ。でも、「みんな歩きながらケイタイは見てませんよ」と言っても、ダメだろうな。

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あめふらし

雨がいつ降り出してもおかしくない空模様である。風は結構涼しいが、歩くとじっとりと汗がにじむ。書きものにも飽きてきたところで、本屋など覘いてみた。George R.R. Martinの「A GAME OF THRONES(七王国の玉座)Ⅲ」(岡部宏之訳、ハヤカワ文庫、2006年7月31日発行)が出ているではないか。毎月のペースで出ている。「暗殺者ブラド・タルトシュ」シリーズ(最新刊「虐げられしテクラ」は7月15日発行だった)の3ヶ月毎と比べると、好いスピードだ。で、この辺りをご紹介すると思うでしょう。違うんだな。梅雨明けはまだだが、気分的には夏。夏と言えば、少々涼しくなるような話でしょう。ところで、ホラー映画「ラブ・サイコ」も7月15日より上映されている。私は怖い話は好きなのだが、映像にはからきし弱い。この作品でも、西岡徳馬氏、大谷直子さん出演の最後のストーリーには参った。

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ひかりのメリーゴーラウンド

■田口ランディさんの「ひかりのメリーゴーラウンド」(理論社、2005年3月20日初版第一刷発行)

夜市」のご紹介を書きながら、思い出したのが「ひかりのメリーゴーラウンド」。上倉まゆの中学生最後の夏からの話、子供から大人になろうとする一瞬を切り取った物語である。

私たちにもこうした時期があったのだろうか。あったのかもしれないが、昨日のように飲んでいると、子供の頃の感覚は遠い別の世界へと行ってしまう(笑)。いやはや、幹事さん、参加された方々、お疲れ様でした。楽しくて時間の経つのを忘れ、出来たら行こうなどと思っていた別の忘年会のことなど、途中で忘れてしまいました。ご機嫌で帰宅。余勢を駆って、Joseph Finderの「侵入社員」を読み始めたら、最後まで読んでしまった。お陰で、犬の散歩へ出掛けるときはボーっとしたまま。寒いこと寒いこと、頭のなかまで凍りつきましたね(笑)。

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夜市

■恒川光太郎氏の「夜市(よいち)」(角川書店、平成十七年十月三〇日初版発行)

今日は「スクールデイズ(school daze)」の公開初日だった。守屋健太郎監督はじめ、森山未來君、金井勇太君、忍成修吾君、市川由衣さん、いとうまい子さん、小林且弥君が舞台挨拶をした。森山未來君や市川由衣さんの人気だろうか、1、2回とも立ち見もぎっしりと云う状態だった。キャストの人気ばかりではなく、この作品はドイツ・エクスグラウンド国際映画祭2005「INTERNATIONAL YOUTH FILM部門」最優秀賞を受賞している(評論は「スクールデイズ」公式サイトにあり)。流石に守屋監督が2年をかけて練り上げた脚本だけはある。

ところで、以前にも書いたように、「スクールデイズ」は現実と虚構とが交錯する不思議な作品である。同様に「夜市」も現実と虚構とが錯綜しているのか。

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花見に行きたい

花見に行きたい。既に満開である。「ひさかたの ひかりのどけき 春の日に しづ心なくはなのちるらむ」(桜の花のちるをよめる きのとものり『古今集』春下、八四)と紀友則も詠んでいる。桜の花はあわただしく散っていくのに、わが身は花粉症などと心寒き状況なれば、ひらひらと舞う花びらを見るだけで心は穏やかでなくなる。どきどきするような良い天気のなか、なんと見事に咲いていることか。その下を急ぎ足で通り過ぎてゆく身のなんと寂しきことか。

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