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猫風船

 今朝の散歩で見たものは、猫の談合。地震直後からそこにいるのか、路地にいたのは三毛と白。なにやらヒソヒソ話してる。わたしゃ腰を抜かしたよ、そうだろ、そうだろ。そんな感じかな。お墓の横を虎毛とブチが話しながら歩いてる。深刻な話か、どうも善からぬ相談か。ブチのちらりと見る目に翳りが見える。ボソボソ呟く声は小さ過ぎて聞こえない。猫の談合、意味不明。私は家へと帰り着く。これは天変地異の前触れか、なんてことは思わない。ふと頭に浮かんだのは「猫風船」(松山巌氏著、2007年6月15日発行、みすず書房)であった。

 「猫風船」には掌篇41篇が納められている。抜粋すると、「アカンベー」で路地は薄い闇におおわれ、地下鉄の新御茶ノ水駅で降りて「そっくりな他人」に会い、薄っぺらな男に「ウミ、ドチデスカ」と訊かれ、「素晴らしき伝説」とはなんなんだとも考える。Cat01 路の中央に「小さなゴジラ」がいて、「鳥たち」に一斉に見つめられ、「ロボット売ります」なんてチラシを見る。犬の名はイロとハニーで「座敷のイロハニー」だったり、「天使のくせに」背負うとずっしりと重く、「カレー味の消防団」が現れる。日本は「平和ですなあ」と男はまた呟き、電話からは「大事なもの」しか持たぬように伝えろという声があり、「万物創生」となる。そんな奇妙な風景を通り過ぎる中に掌篇「猫風船」がある。暑い夏、「うるさいから眼を開けると、眼の前に三毛猫の大きな顔がある」。台風は何処へ行ったのか。陽射しが戻ってきた中で、今朝の猫たちもそうなるのかなと思ってしまう「猫風船」。萩原朔太郎氏の「猫町」とはちょと違う。

扉絵 猫車配送所

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