英雄の書
梅雨入りした途端に晴れ。気象庁も大変だ。入梅(江戸っ子の言葉だそうだ)が6月10日。時の記念日だった。この記念日はなかなか難しい、「時」と云う概念がなぁ・・・なんて考えていたら、日本初の時計が鐘を打った日のようだ。暇になると、時の流れが遅くなり、何にもやる気がしなくなる。学術発表会に行かなきゃなと思いつつ、動きたくない。なんて朦朧とした意識でブログなんぞ書いている。でもな、時間の存在しない無名僧にはなりたくないな。そこは「無名の地」、すべての物語の源泉にして終熄の場所「万書殿」のあるところ。「英雄の書」が封印されている。とは言え、「紡ぐ者」も咎人だそうだ。そ、生むことは倦むことでもある。
「一の鐘の響きは朗々と猛々しくなる。念歌は霧に呑まれ、万書殿の頂が、霧のヴェールを透かして姿を現す」。「二人の幼子と、一人の僧侶と、一人の魂なき流浪者の織りなす、忌まわしき命の物語」が始まった。宮部みゆきさんの「英雄の書 上・下」(2009年2月15日発行、毎日新聞社)。忌まわしき命の名を「英雄」という。時には「黄衣の王」を名乗る者である。まァ、「紡ぐ者」も大変だ。
ところで、「万書殿」の描写を読んでいて思い出した本がある。David Brooksの「THE book of SEI(迷宮都市)」(実川元子訳、1992年11月18日第一刷発行、福武書店)である。ついに心臓部分に行き着いた時に、はじめて壁で囲まれた街であることがわかり、滞在すれば、存在しえないだろうと思っていた街ではなく、あなたが出発した街とそっくりになってくる都市、そこは「迷宮都市」と呼ばれてきた。「英雄の書」とは全く関係がございません。辿りつくことができるのか、そもそも辿りつくつもりがあるのかないのか、とか考えただけなのです。
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