訪問者
今日紹介する「訪問者」は何だか不思議なんだな。中身の話じゃなくて、平成20年5月20日初版第一刷発行なのに、発売日は今年の5月14日。「そういえば、本が出て1年近く経ってから、奇妙な電話が掛かってきたことがありましたね」(「ユージニア」、恩田陸著、平成20年8月25日初版発行、角川文庫)なんてこともある訳で、まァいいか。
では、恩田陸さんの「訪問者」(祥伝社)を紹介することに致しましょう。舞台は山奥の洋館、老人たちの昔話、映画なんて並べると、「夏の名残りの薔薇」(2008年3月10日第一刷、文春文庫)のようだが、「訪問者」は、より舞台を意識したような作品になっている。嵐に閉ざされた山荘が舞台だからかな。そこに集まる朝霞一族。訪問者とは一体誰なのか。3年前に不慮の死を遂げた朝霞千沙子、その千沙子に育てられた映画監督峠昌彦の急死。二人の死因は何か。老人たちが語る昔話に謎を解く鍵が秘められているのか。
「夏の名残りの薔薇」に出てくる映画「去年マリエンバートで」と「訪問者」で映画監督峠昌彦が制作しようとしていた映画「象を撫でる」とは雰囲気が似ているような気もする。
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