木でできた海
数日前、福岡へ行った。いつも感じるのだが、便利なところだ。地下鉄で空港から博多駅まで5分。空港移転の話もあったが、そのままになるそうだ。ところで、もう少し暖かいかと思ったのだが、東京と変わらなかった。バラの花も枯れ始めたなどと前回書いたが、別のバラが咲き始めた。一面だけ見て物事を判断してはいけませんな。しかしながら、幾つもの自分を見たら、どうなんでしょうね。そう云う話が、Jonathan Carrollの「THE WOODEN SEA(木でできた海)」(2009年4月30日初版、市田泉訳、創元推理文庫)。空港へと向かうところで、いつものように慌てて仕入れた本の一冊だった。「死者の書」で有名な作家らしいが、実は読んだことがなかった。死者の書と言えば、「原典訳 チベットの死者の書」(1989年5月25日初版第一刷発行、川崎信定訳、筑摩書房)か、などと云う話はまた別の機会にいたしましょう。
これがなかなかに面白い。クレインズ・ヴューの警察署長フラニー(フランシス)・マケイブがオールド・ヴァーチューなる犬を拾ったところから時空が縺れだす。まァ、話は読んで頂くとしてだ。そうそう、本書はクレインズ・ヴュー三部作の掉尾を飾る作品だそうだ。知りませんでした。読んでしまったのでしょうがない(笑)。フラニーが好いんだなァ。「車内に転がってるものを見れば、・・・(途中相当に省略)・・・煙草、KC・アンド・ザ・サンシャイン・バンド、ケツの穴検査結果、犬の死骸。おれってどういうやつなんだ?」なんてね。さァ~て、「木でできた海で、ボートをこぐにはどうしたらいい」のでしょう。それにしても、「神は細部に宿る」って言葉を何処かで聞いたような。昨日の映画じゃないし(公開二日目だというのに、空いてます)、なんて思っていたら、読みかけで放り出している「犬は勘定に入れません」でした。
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