おそろし
袋物屋の三島屋に預けられることとなったおちかには何やら事情がありそうです。松田屋藤兵衛がおちかに語った曼珠沙華に纏わる話をきっかけに、叔父である三島屋の主人、伊兵衛が言い出したのが“変わり百物語”。おちかの事情も絡み合い、何やら怪しきことが動き出します。曼珠沙華の血のように紅い花の群れの中に何が見えるのでしょうか。そこには得体の知れない何者かが潜んでいるのかもしれません。死者、生者、亡者それぞれの思いが交差して、「三島屋変調百物語事始」が幕を切ったのでありました。
ところで、妖しき者をひろってくるのは長野まゆみさんの「左近の桜」(2008年7月31日初版発行、角川書店)。宿屋「左近」の長男、桜蔵(さくら)がひろってくるのです。満開の桜のした、すうっと背筋が寒くなるのはあやかしの者のせいではないのかもしれません。色んな意味で異界の者たちが日常にいると云う感覚にぞくりとさせられるのでしょうか。これもまた新シリーズ第一作だそうです。
角川さん、7月末発行が遅いような気がするのは私だけでしょうか。
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