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おそろし

昨日の午後、激しい雨の後から急に涼しくなった。今日も午前中から雨がぱらつき、気温は上がっていない。夕方の降り方は凄まじかった。暑い時には涼しい話と思っていたのだが、蒸し暑くもない雨の中、少々興のさめるところではある。「今朝の秋」のように知らないうちに秋が来ているとまでは言わないが、今年はちょっと遅かったのかもしれない。宮部みゆきさんの「おそろし」(平成二十年七月三十一日初版発行、角川書店)を紹介しようと思っていたのだ。毎年この時期に同じような趣向とは(あめふらし、「覘き小平治」他)、マンネリではあるが致し方ない。何処が致し方ないのか分からないが、紹介することとしよう。 

袋物屋の三島屋に預けられることとなったおちかには何やら事情がありそうです。Miyabe01松田屋藤兵衛がおちかに語った曼珠沙華に纏わる話をきっかけに、叔父である三島屋の主人、伊兵衛が言い出したのが“変わり百物語”。おちかの事情も絡み合い、何やら怪しきことが動き出します。曼珠沙華の血のように紅い花の群れの中に何が見えるのでしょうか。そこには得体の知れない何者かが潜んでいるのかもしれません。死者、生者、亡者それぞれの思いが交差して、「三島屋変調百物語事始」が幕を切ったのでありました。

ところで、妖しき者をひろってくるのはNagano01長野まゆみさんの「左近の桜」(2008年7月31日初版発行、角川書店)。宿屋「左近」の長男、桜蔵(さくら)がひろってくるのです。満開の桜のした、すうっと背筋が寒くなるのはあやかしの者のせいではないのかもしれません。色んな意味で異界の者たちが日常にいると云う感覚にぞくりとさせられるのでしょうか。これもまた新シリーズ第一作だそうです。

角川さん、7月末発行が遅いような気がするのは私だけでしょうか。

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