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草葉の陰で見つけたもの

手術から2週間、漸く首の周りの覆いが外れた。我が愛犬は苦痛だったに違いない。人間の歳で言えば八十歳を超える老犬である。回復して何より。うつらうつらと過ごした最初の1週間、彼は何を考えていたのだろう。聞いても、久々に自分の身体全体を感じているのだろうか、うっとりとソファに寝転がって何も言わない。想像してみるしかないのだが、こんなことは考えなかったことだろう。首から下が見えないとは言え、大田十折氏の「草葉の陰で見つけたもの」(2008年6月25日初版一刷発行、光文社)のようなことは。それにしても、「俺は今きっと、生きながらにして晒し首になっている」なんてことをよく考えるものですね。

「草葉の陰で見つけたもの」には、Ota01「草葉の陰で見つけたもの」と「電子、呼ぶ声」の2篇が収められています。生きた生首(ちょっと変な表現ですね、笑)の話には、その生首の前で接客の練習をする娘が登場します。それだけでも十分に異様な光景なのですが、さらにすさまじい状況へと話は進んでいくのです。そこに何を感じるかは読み手次第というところでしょうか。さて、「電子、呼ぶ声」は、製造されてすでに十六年、約八ヶ月ぶりに起動した「私」の話です。「マユミ」と「エナ」の姉妹の世話を命じられています。私は、この「私」の思考の微妙な変化が好きなのですが、16年、姉妹の世話と云う設定のせいなのかもしれません。

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