イスタンブールの群狼
4月5日から始まった「つつじまつり」も今日までだった。今年は期間通りにつつじを楽しむことが出来たようだ。露天商も4月中頃から毎日出て、多くの人が来ていた。大勢で思い出したが、先週、FIRST LEGO League(FLL)のOpen Asian Championship Final Roundを見てきた。世界各国の子供たちが楽しそうに競技をしたり、踊ったり遊んだりしていて興味深かった。と云うことで(いつものように強引、笑)、多くの民族、言語、宗教が混在した19世紀オスマントルコ帝国を舞台としたミステリー、Jason Goodwinの「THE JANISSARY TREE(イスタンブールの群狼)」(和爾桃子訳、2008年1月25日発行、ハヤカワ文庫)を紹介しよう。舞台設定が珍しい上に、主役もまたユニークである。
「時は、1836年。…(途中省略)…ヴァルカン半島は泥沼へとまっしぐらに突き進む。そそのかした者たちですら、もはや収拾不能なほどに」。スルタン臨御の近衛新軍閲兵式まで二週間を切ったと云うところで事件は起きる。四人の士官が姿を消した。そして、次々に惨殺死体で発見される。背後には「イスタンブールの慶事」と、もってまわった言い方をされる10年前の事件があるのか。欧州最強とうたわれたトルコ最強のイェ二チェリ軍団は、帝国衰退とともにただの厄介者となり、1826年に討たれたのである。事件解決を託されたのがヤシム・エフェンディ。「十九世紀のイスタンブールにさえ稀な、異形の存在ではある。ヤシムは宦官だった」。後宮での刺殺事件も任されたヤシムに事件を閲兵式までに解決できるのか。ヤシムの友人であるポーランド大使のスタニスラフ・バレフスキー、ロシアのエフゲニア大公妃など様々な人物が登場する。また、ボスポラス海峡、グランド・バザールなど当時のイスタンブール市街地の多くが事件へと複雑に関係してくる。
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