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三年坂 火の夢

昨年買った「三年坂 火の夢」(早瀬乱氏著、2006年8月10日第一刷発行、講談社)を漸く読んだ。未読の中に埋もれて忘れていたので、漸くと云うのは適切ではないか。火の夢なんて題では夏読むには暑いかと思い、後回しにしていたような気もするが、結局は一番暑い時に読むことになってしまった。それにしても、台風接近で蒸し暑かったり、去ったと思ったら夏が戻ったように暑い。数日日本を離れるのだが、少しは涼しくてホッとするかもしれない。そうそう、その間、コメントやTBは公開保留にさせて頂く。やたらスパムばっかり来るので、放置する訳にもいかない。
「最悪の冬」と言われた明治初期の東京の大火。神田大火。本郷春木町大火。Hayase01その中を疾走する俥曳き。「これは全て夢か?」、三年坂で俥夫は囁くように言った。それから何年かが経った。一高受験のため東京に出た内村実之は、姿を消した父橋上隆、突然に亡くなった兄内村義之の謎を追う。その鍵となる言葉が『いくつもの三年坂』と『三年坂で転んだ』だった。三年坂と火の夢が交互に現れるように、予備校講師の高嶋鍍金もまた大火の謎を追っていた。二つの線は何処かで交わるのか。そして、謎は解明されるのだろうか。東京中を駆け回った気分にさせられる不思議なミステリーである。 それにしても東京には坂が多い。長崎市も多いのだが、この作品を読むと、これはまた別種の坂のような気がする。近所の坂も登場する。団子坂に三崎坂。「急坂なので転ぶと団子になるというのか?」はなかなかに好い。坂の下に団子屋があったからと云うよりも良いかもしれない。森鴎外の観潮楼跡があり、江戸川乱歩の「D坂の殺人事件」の舞台と言われる所です。団子坂を下りて不忍通りの向こう側が三崎坂ですが、宮沢りえさんがよく立ち寄ると云う「菊見せんべい」、それをちょっと行ったところに「乱歩」と云う喫茶店があります(観光案内みたい、笑)。そうでした。この作品は第52回江戸川乱歩賞受賞作です。

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