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黄金旅風

■飯嶋和一氏の「黄金旅風」(小学館、2004年4月1日初版第一刷発行)

私の本の紹介も300冊目となる。タイトルでの紹介が丁度150冊目。文中等での紹介が今までに150冊である。さてと、何をご紹介しようかな。梅雨である。夕方は雨だった。梅雨と云えば紫陽花。紫陽花の学名は Hydrangeaだが、長崎出身者としてはシーボルトが名付けた「おたくさ」の方が馴染み深い。そう、紫陽花は長崎市の花でもある。と云うことで(何が“と云うことで”なんだか、笑)、長崎に因んだ本を紹介しよう。時は江戸時代。鎖国以前、貿易都市の長崎を舞台とした「黄金旅風」。

Iijima01海を、そして夢を目指す男達。黄金島へと船出していく。「ここは長崎です。江戸や大坂とは違う。…長崎の者を裁くのは、人や幕府が作った法などではない。…」のである。海を見ると胸が騒ぐのは私だけではないだろう。「長い航海の後に船が帰ってくる時、たかだか一隻のジャンク船にもかかわらず、辺りの見慣れた風景までが一変する」と書かれているが、まさにその通りだ。だが、秀忠から将軍家光へと権力が移りゆくなか、長崎を取り巻く情勢は大きく変化していく。

『港の王』として君臨した長崎代官「末次平蔵正直」は何者かに暗殺される。彼もまた大いなる夢を見た一人だった。その後を嫌々継ぐことになった「末次平左衛門」。彼はやれ「色狂い」「飲んだくれ」と不肖者呼ばわりされていた。しかし、「末次平蔵」こそが、命懸け、死に物狂いでやってきたとはいえ長崎の極悪人であった。辻邦生氏の「天草の雅歌」(新潮社、昭和四十六年四月二十日発行)での平蔵と高木作右衛門との会話では、「…私らが結束するのは、オランダ征伐に乗りだすという点でなければならぬ」などと誇大妄想へと陥っている。平蔵は単なる「放蕩息子」などではなく、平蔵よりも視野が広く、冷静な判断をするところがあった。

また、友人の「平尾才介」も単なる「南蛮人斬り」と呼ばれる乱暴者ではなかった。人望厚き内町火消組惣頭として唐人からも慕われていた。その才介が大切にしたのが「はるばる海を越えてルソンから渡ってくる黄金蝶」。それにしても、この素行の悪かった二人の会話が好い。「才介、頼みがある。…俺がもし朋輩と呼ぶに値せんようなザマになった時には、お前の手で、斬ってくれ」「断わる。お前なんか斬ったら刀が穢れる」。何ともまァ、好いじゃないか。平左衛門が唯一知っているオランダ語も好いね。「へドーヘン」(「共存する。許す。寛容になれる。」の意)。Hm01山崎洋子さんの「長崎・人魚伝説」(集英社、1992年7月25日第一刷発行)は「数限り無い夢の死と、新しい夢の誕生を呑み込んで、海はいま、風もなく凪いでいた」で終わる。男に夢がなくなったら、終わりだね。

Hm02ところで、話は全く変わるが、昨日は高齢独身集団の一人が結婚披露パーティを開いた。H君、Mさん、おめでとうございます。何ともめでたいことです。監督など映像関係の方々や出版関係の方々、それにグラビアアイドルの皆さんなど大勢の方々が参加していた。写真を載せようと思ったのだが、私が撮ったものの出来が余りよろしくない。新郎新婦以外の写真は改めてと云うことにしよう。

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