「老ヴォールの惑星」
■小川一水氏の「老ヴォールの惑星」(ハヤカワ文庫、2005年8月15日発行)
今週の講義資料を作っている。講義は昨年もやった。大学院の学生さんたちだから、手取り足取りなんてことは必要ない(よね、笑)。本もあるのでたいしたことはないと思いつつ、どうも捗らない。3時間毎にblogを書くのは現実逃避。1年近く取り組んできた案件に先々週やっと目処が付いて(だから、万博なんて行ったんだった、笑)、ホッとしているからかな。何しろ販売面で最重要案件の一つである。販売力強化のために、シナジーの出る企業とのアライアンス実現を図らなければならない。時間のかかっている契約が出来れば、漸く我々の業務も大きく前進することになるのだが。一面ホッとしながら、他方でイライラ待たされる感覚。まさに、本作品の随所に出てくる感覚である。
小川氏の作品では「第六大陸」(ハヤカワ文庫)の月面開発以来の出会いである。本書は短編集。4つの話からなる。まずは「ギャルナフカの迷宮」。「地図を手に入れた」で始まる物語は意外な展開となる。迷宮社会の歴史が語られる。それは逃避か圧政か。迷宮を設計した「犠牲者の背を押す悲しみに酔っていた司祭」も死ぬ。迷宮の人々はどうなるのか。
次は「老ヴォ-ルの惑星」。何だか判らないようで、すうっと理解できるような奇妙な感覚。サハーラの生命体。知識を他人に譲り渡していく生命体でありながら、大が小を食らう。「少しでも風に対抗するために、群れごとに陣を組んでいた。風上に向かって、数十対の固体で三角形を作るのだ」。「青白いプラズマジェット」。絵になる。それが、「幸せになる箱庭」では、人間の物語であるのに、何故か落ち着かない気分にさせられるのは、現実と非現実とのはざまに揺れるせいか。
最後の「漂った男」。これはまさに理解し得ない状況に陥った男の物語。「よしよし、大丈夫」、「おれは助かった」と云う最初の状況が、次第に変化していく様は実は恐ろしい。シュールなようで現実的。Uフォン(通信機)だけが現実との窓口(まァ、携帯電話だけが社会との窓口なんて感じの若い人が多いけど、笑)。
これがないと、「真の孤独の恐ろしさを知った」と云う状態。作者は何もUフォンを批判している訳じゃない。単なる極限の小道具。これは大変だ。何がって、それは読んでみて下さい。
ところで、話は全く違うが、岡野玲子さんイラストの「陰陽師」第12巻(原作:夢枕獏氏、白泉社ジェッツコミック、平成17年8月3日第一刷発行)が出ていた。「こんなに恐ろしいとは…」なんてね。12じゃ終わらなかったんだ。第13巻にて完結だそうです(9月発行?)。随分と楽しませてもらったな。
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Comments
うーむ。小川一水さんまで手を広げましたか・・・。 まあ、ハヤカワしか読んでないようですが、「復活の地」もいいですよ。
Posted by: Jin | Aug 21, 2005 at 22:35
Jinさん、こんばんは
そうですか、「復活の地」ですね。読んでみます。小川一水氏、今回で結構気に入りました。
ところで、私は小川と云う名前に縁が深そうです(Junさんも読んでます? 笑)。小川国夫氏の作品も好きだし。dより
Posted by: dawn | Aug 21, 2005 at 22:47
はじめまして。
わたくし北原商店の北原と申しまして、この度社長ブログリンク集
仕事人.com( http://www.shigotonin.com/ )を公開いたしました。
コンセプトは、現在ご活躍中の社長様のブログをより多くの
ユーザに知っていただくための、情報発信サイトでございます。
土井 様のブログサイトをリンクさせていただきましたので、
ご報告申し上げます。お気づきの点等ございましたら、お気軽に
ご連絡くださいませ。今後ともよろしくお願いいたします。
Posted by: 北原 和典 | Aug 22, 2005 at 09:35
こんにちは
その「シャチョサン」ブログ周辺で「本屋の回し者」、「日本近海に出没する国籍不明の潜水艦並みにあやしい」と傍若無人な発言をする不埒ものです(爆)。
ちゅーかそれこそ最近は会社の話とかちょこっと書いてあるけどここ、いわゆる社長ブログなのかなあ?本とか映画とか、恐竜博とか万博で並ばないですむパビリオン見てきた話とか謎の「ブラ珍」とか(w)。どこぞの元祖(暑苦しい)クールビズ社長みたいに「今日はナニ食った」みたいなのよりはるかにおもしろいのは確かですが。
すんごい久しぶりに筒井の「パプリカ」読み返したんですが、主人公のパプリカが親子ほども年のはなれた自分の患者に治療のたびに擬似恋愛めいた感情を覚えてしまう理由について、「社会的にそれなりの地位にある人間の中には、その地位に至る理由となったの人間的な魅力を持ったことがある」みたいなことが書いてあって、なるほどと思いましたが、どこかの「本屋のまわしもの」シャチョーさんと社員の方の
「( ̄□ ̄;)社長!今度はミーティングすっぽかさないでくださいよ!!」
「( ̄▽ ̄)え?うん。多分ダイジョウブ。途中で本屋見つけたりしなきゃ。」
という会話を想像したりして、心が痛みました(巨爆)。
と、アマゾンにこの「老ヴォールの惑星」書評を読みにジャンプしてみたら・・・ひえー!この作家さんまだ29とか30なんですね!ジュヴナイル出身ということですが、なんかハードSFっぽい硬派なカンジ・・・。メモメモ・・・。
つか・・・プロフィールに「宇宙作家クラブ会員」ってあるんですが。日本SFとか関西SFじゃなくて「宇宙」の作家クラブ!!大きくでたなあ。
( ̄□ ̄;)
その作家クラブのWEB見たら活動状況に
「ロケットまつり4~ロケット一代男再び」
http://www.sacj.org/activity.htm
とか書いてあるんですけど(涙)。世の中には変な人がいっぱいいるなあと恐ろしくなりました。
Posted by: koolpaw | Aug 23, 2005 at 19:04
koolpawさん、おはようございます
それにしても、しゃ、社内の状況を知っている… 見たなァ(爆)。
世の中には変な人が多い。だから面白いのでしょうね。人のことは言えないが。
さてと、今日は御茶ノ水に用事があるので、本屋じゃなくて、レコード店を見付けよう(ミーティングは忘れないように、笑)。dより
Posted by: Dawn | Aug 24, 2005 at 09:59
dawnさん、こんばんは。
コメントごぶさたしていて申し訳ありません。
今晩は台風接近のお陰で、こちらも久しぶりに(何カ月ぶりだろう、笑)ほぼ定刻に帰宅できたので、ブログ巡りを楽しんでいます。
それにしても「社長ブログ」にリンクされると、これまでと読者層が変わるのでしょうか?
う~ん、興味津々です。
Posted by: あざらしサラダ | Aug 25, 2005 at 21:41
あざらしサラダさん、おはようございます。
昨日は私も結構早く帰ったのですが、バタっと寝てしまいました(笑)。たまには台風もいいものです。
私のブログを「社長ブログ」に入れるとは中身を読んでないからでしょうね(笑)。読者層は変わらないでしょう。「社長ブログ」(面白いかどうかは別問題)を期待してる方はガッカリするでしょうからね。dより
Posted by: dawn | Aug 26, 2005 at 08:53
昨夜の台風はすごかったですね。無事でなによりでした。本屋だけでなくレコード店にも手を広げるとはさすがですね。私の町には古本屋と中古レコード店が多々あり、店内が同じホコリとカビの匂いがして落ち着きます。誘惑が多い町です。(^^;
Posted by: 高円寺 | Aug 26, 2005 at 10:29
高円寺さん、こんにちは
高円寺さんも無事で何よりでした。古本屋と中古レコード店、好いですね。高円寺さんの町にも行きたいものです(笑)。では改めて。dより
Posted by: dawn | Aug 26, 2005 at 12:39