「長安牡丹花異聞」
■森福都さんの「長安牡丹花異聞」(文春文庫、2005年7月10日第1刷)
台風がやってくるらしい。本来なら既に出掛けている時間だ。今日は「エンターテイメント・ロイヤーズ・ネットワーク」第1回研究会がある予定だった。そこで、松田政行先生と「映画コンテンツ製作資金調達スキーム」と云う題で講演することになっていた。これはこれで、弁護士の方々やコンテンツ関連の皆様の疑問等にお答えする良い機会であったが、台風のせいで延期されてしまったのでした。丁度いいので、優先・劣後構造を検討する会議を開くことにした。この方式で優先・劣後をつけるのは税務上問題があるようだ。しかし、優先・劣後構造は、一般投資家のリスクを軽減する一つの手法として重要である。かなり大きな案件があるので、ここ1週間ばかり、この点について考えていた。社内で検討した後、弁護士等とも相談しなくてはならないので、どうなるか判らない。でも、私の案は結構な逆転の発想だと思う(自分で言っててもね、笑)。5時半からの商品開発担当等との会議まで、ちょっと時間ができたので、「長安牡丹花異聞」でも紹介しよう。この短編集も発想が面白い。
森福都さんの作品、実は始めてである。どうも私は「…異聞」と云う題に弱い。要するに野次馬なんですね(笑)。中国には、蒲松齢の「聊斎志異」と云う有名な怪異小説がある。これも異聞録の一面を持つ。何となく、この本も脳裏をかすめたような気がする。この短編集の第一篇「長安牡丹花異聞」は夜光の富貴花を巡る物語。この物語の終わりから本当の話が始まるような感触が好いな。思い描くは広大な中国大陸。崔融と艶然と微笑む胡女、そして涼しげな若者に成長したであろう黄良のその後の運命に想いを馳せる。
その遥か遠く砂漠の中を歩いていくのは緑耳。「ときに篳篥(ひちりき)の澄んだ調べを聞」きながら。緑耳が語る物語は「殿(しんがり)」。皇帝玄宗と楊貴妃の脱出行、その殿で織り綴られる逃避行は楊建の吹き鳴らす、仙女の舞い踊る様を描いた「霓裳羽衣(げいしょううい)の曲」で飾られる。なお、玄宗と楊貴妃とのお話は伴野朗氏の「玄宗皇帝」でも読んで頂こうか。
このほか、「累卵」、「チーティング」、「虞良仁膏奇譚」、「梨花雪」がある。「虞良仁膏奇譚」の「莞爾として笑う妥矯の白面」にはなかなかのものがあるが、やはり男のやること、笑いが伴うね。それに比べて、「梨花雪」の金鈴の文は女性の妖しさそのものではないか。愛らしい笑顔とは裏腹なところが何とも言えないところかな。
なんて書いていたら、もう5時半だ。少々書き足りないが已むを得ない。今日のところはこの辺で。
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