「アゴールニンズ」
■Jo Waitonの「TOOTH AND CLAW(アゴールニンズ)」(和爾桃子訳、早川書房、2005年6月15日初版発行)
会社の近くで遅めの昼食を食べ終わり、コーヒーを飲んでいたら、突然の揺れ。久々の地震だった。そのうちビルのエレベーターが動かないと放送が流れた。これはかなり大きかったなと思って表に出た。交差点に大勢の人。土曜日のこの辺でこんなに人がいるなんてと思っていたら、地下鉄が止まっていた。携帯電話も繋らない。心配になって(何がって。本で傾いた家が崩れてないかと心配で)タクシーで帰ってきましたね(運転手さん、今日は稼ぎ時)。先ほどからラジオを聴いているが、被害はなさそうで何よりだ。良かった。と云うことで、本の紹介でもしようかな。何やら一部で「ブラ珍ミニスカの旅」が盛り上がっているようだが、なんせ「マニア系、本屋さんの回し者系、特殊アンテナ系」ですから(笑)、珍しい本でも如何でしょう(笑)。本当にこの本は変わってますよ。
私も始めてのJo Waiton女史は新進気鋭の作家だそうだ。デビュー作がケルト風歴史ファンタジー「The King's Peace」。読んでみたいな。それにしても、この作品、主人公はドラゴンたちです。人間は一人しか(しかも、端役)出て来ません。原題が「TOOTH AND CLAW」ですからね。でもって、この作品は2004年度世界幻想文学大賞を受賞してます(児童書だと申し上げた方、失礼しました。私の勘違いでした)。どう考えても児童書じゃありません(笑)。
何故かって。体長70フィート、両翼と炎を吐く力を備えた名士、500歳近いボン・アゴールニン啖爵(だんしゃく)臨終の場面から物語は始まる。これがね、そのボン・アゴールニンの遺骸の相続を巡って親戚間紛争が勃発するのですね。デヴラク士爵は強欲、人間だけじゃありませんね、遺言に背いて自分の家族で大きく食べちゃうんだな。いやどうも、これが児童書であるはずがないじゃありませんか。育ちの悪い小竜(こども)なんかも食べられちゃうんですよ。
「共食いは竜の性だ」、人間征服以前は「若いドラゴンは翼が育ちきると冒険の旅にでかけるならわしだった」、「こんなふうに寝そべると、黄金の味がお肌においしいと思わない?」なんてところは、ドラゴンらしい。でもね、都の都市計画美観局勤務のエイヴァン・アゴールニンは出世競争中(競争相手を食っちまうこともあるようだが)。ひと腹の卵同士の姉妹ヘイナーとセレンドラは涙もろい。お年頃の愛らしい娘なんて言われても、翼はあるし、うろこもあるし、どう考えたらいいのだろう。極めつけは牧師もいるんだな。ペン・アゴールニン。それだけならいいが、乙女たちの一竜(ひとり)を嫁にともくろむ、いやらしそうなフレルト牧師もご登場。
全竜(みんな)結構欲深で、弁護士稼業も繁盛してる。確かUrsula K. Le Guinの「ゲド戦記」では「人間はくびきを選び 竜は翼を選んだ 人間は所有することを選び 竜は所有しないことを選んだ」はずなのに。でもまァ、いいことにしよう。息子に「だれか感じのいい嫁をわが手で選ぶこと」を夢見る母親ドラゴンとか、乙女の変色とか、『召使の隷属について』なんて著書も出てくるが、何と言っても最後は「めでたし、めでたし」なんですね。何でもありのお話に、付録「ドラゴン暦について」も付いている。お買い得。目をくるくる回して読んでみましょう(笑)。
ドラゴンのパーティと地震、何やら考えちゃうね。
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Comments
またまた。ブラ珍ミニスカの旅のオーソリティとしてぐーぐるさんにも認められたブログのオーナーが何をおっしゃいますやら。「なにやらどこかで盛り上がってる」どころじゃありません。
( ̄▽ ̄)
いやその話ではなく!
え!!竜が主人公なんですか???パーンの竜騎士みたいなんじゃなく?すっげー。「我輩は竜である」状態ですな。これまた空間ねじれそうな・・・。Jo Waiton女史?女性なのかー。あ、ケド戦記もル・グインなんですね。竜騎士シリーズも女性だ。女性SFファンタジー作家は竜が好きなんでしょうか?
って・・・アマゾン見たら書評が!
「貴族制は残っているが、王制は廃止されているらしい。」「ビクトリア風な淑女と紳士達が繰り広げる結婚狂想曲である。」竜の紳士・淑女ですか!
( ̄□ ̄;)
オレは先日ようやく「イルカ宇宙船」の知性化シリーズ「知性化の嵐」3部作読了しました。文庫が一巻1000円近いってなんじゃそれ!それが6冊って・・・。もうイルカどころか5本足のカニみたいな異星人やら、ドーナツつみあげた「自我」の集合体の異星人やら、のどに袋もった白いうぶげが足に生えたのっぽのカナヅチの癖に船旅が好きな異星人やら、車輪で移動する異星人やらでむちゃくちゃでございました。最後の方は一瞬ハインラインの「異星の客」とか「悪徳なんかこわくない」に近いわけわからなさにおちいりかけましたが、無理やりにまとめてありました(w)
Posted by: koolpaw | Jul 24, 2005 at 00:03
koolpawさん、こんにちは
お~、「知性化の嵐」を読みましたか。トレーキとジョファー、これが最も解り難い生物ですね(ドーナツつみあげた「自我」の集合体)。知性化百科なんてやってると、支離滅裂になってしまうところを何とか強引に纏め上げたところが好いですね。それに比べりゃ、ドラゴンだらけ、空にドラゴン、野原にドラゴン、都にドラゴンの方が分かり易いかも(笑)。dより
Posted by: dawn | Jul 24, 2005 at 11:47
d様、おはようございます。
ブラ珍何とかの発端をつくってしまい申し訳ありません。このネタはここらあたりで終焉としましょう。
さて、どのルートでお知らせしようかと迷っておりましたが、取り急ぎこのコメント欄でお知らせをば。
ご注文いただいた例のモノ、今週半ばにはお手元に到着予定と聞いております。ご注文、重ね重ね、御礼申し上げます。では。
Posted by: 小島愛一郎 | Jul 25, 2005 at 10:07
小島さん、こんにちは
わざわざのご挨拶、痛み入ります。社員へのお中元なんて言いながら、私も美味しい味を楽しもうと思っております。dより
Posted by: dawn | Jul 25, 2005 at 12:16