「オデッセイの脅威を暴け」
■Clive Cusslerの「TROJAN ODYSSEY(オデッセイの脅威を暴け)」(中山善之訳、新潮文庫、平成17年6月1日発行)
犬の散歩に出掛けていたら、突然の雷。降ってきたぞと思っていたら土砂降りとなった。犬も私も水も滴り過ぎのいい男となって帰ってきた(笑)。拭いてやりながら「君が速く歩かないから、こんなに濡れたんだぞ」と言うと、彼は「雨の匂いも気が付かないのか、フン」と滴を飛ばしてくれた。落ち着いたので「オデッセイの脅威を暴け」でも紹介しよう。新作としては「ロマノフの幻を追え」(weblogをはじめた日の紹介、この頃は短いね、笑)以来かな。koolpawさんの「邦題を考えることを考える」にお応えしていないので心苦しいが、登場人物たち同様びしょ濡れになったと云うことで勘弁して頂こう。
そう、ハリケーン・リジーがやって来たのだ。その凄まじいまでの威力に翻弄されるのがダーク・ピットの息子ダーク・ジュニア・ピットと娘サマー・ピット。帯には「最強父子チーム、NUMAに誕生」なんて書いてある。どこが最強なのかと思ったら、「あなたと付き合った長い女性陣の最後の人…」うんぬんから推察されるダーク・ジュニアの行状故か。でも、「ダーク(・ジュニア)は父親と異なり、…常にボーイスカウトのおなじみのモットー“常に備えあれ”をまだ実行していなかった」ってことじゃね(ア!変なこと想像しないで下さいよ。あくまで活劇なんだから)。
で、その二人を助けるのがお馴染みダーク・ピットとアル・ジョルディーノのおじさんたちなんですね。いつもご苦労なことで、10年前の「死のサハラを脱出せよ」から比べると、二人とも歳をとったなどとぼやいているが、なんのなんの、立派なものです。また褐色の汚濁物質を追求するのだが、幽霊船は出てくる、謎の人物スペクター率いる変な企業に付け狙われる、「“西の国の邪悪な魔女”のように嫌味な女」も登場すると云うことで、いつもながらの大活劇。ところで、幽霊船と言えば様々なところで登場するが、最近読んだ本ではDiana Wynne Jonesの「バウンダーズ」にさまよえる人々として出てくる(これは怖くない)。
ちょっと「二年前には想像すらしたことのない責任を帯びた家庭の主だった」なんて言われると、御伽噺じゃなくなるのが困りものなのだが(皆さん、現実が…)、サンデッカー提督にこき使われるダークとアル、加えてダークの子どもたちの運命は如何に。謎の人物・企業とは一体何者なのか。「女性の言葉を、あなたはいつもそのまま信じるの?」なんて問われるダークに何が待っているのか(話は違いますが、このように問われたら困るよね。女性の方がやっぱり一枚上手ですね、笑)。
ところで、オデッセイからケルト人まで歴史(?)のお勉強にも最適(??)の本書では、「ケルト人は西洋文明の要石」と書かれている。なお、ケルト文化はアイルランド等で生きていると言われている。そうなんですよ、西洋文明は結局のところ「酔いどれに悪人なし」(「酔いどれ故郷にかえる」)のアイルランド人たちに支えられていると云うことなんですね(爆)。まァ、「フィンとクーフーリン(アイルランドのヘラクレスと言われている)の勝負」とか勝負の多いケルト民話を読んでみて下さい(現代教養文庫の「ケルト妖精民話集」「ケルト幻想民話集」など。なお、同様の話は北欧神話にも時々出てきます)。
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