「天切り松闇がたり」第四巻
■浅田次郎氏の「天切り松闇がたり」第四巻 昭和侠盗伝(集英社、2005年5月30日第一刷発行)
私のゲージンの友人かつお師匠さんに孫が生まれた。Mr. F. Congratulation! それにしても大変な喜びようだ。既に「Granpa」と話しかけられたと言い張っている。まァ、いいか。なんせ喜ばしいことだ。彼にはこれから先、grandsonとの付き合いに関して深慮遠謀があるようだが、between you and me の話でもあり、これ以上は書かないことにして上げよう。「granpa」と言えば、筒井康隆氏の「わたしのグランパ」を思い出す。この話もいいのだが、今日は「グランパ」になんぞ絶対になれねえ天切りの松の闇がたりでも紹介しようか。
時は平成と相成り、天切りの松こと松蔵もかれこれ八十年の盗ッ人家業。さァ、ここに天切りの松がいると思いねえ。義賊、目細の安吉が一門の心意気、その闇がたりでとっくと聞かせてもらいやしょう。おっと、後ろのほうの若え衆も話にお入りなさんし。時は満州事変前後の話と思いねえ(背景は「シネマ見ましょか、お茶飲みましょか、…」てえ流れる雰囲気だ)。
目細の安の二つ名で渡世張りました杉本安吉親分、明治の渡世人そのままの説教強盗の寅兄ィ、百面相の常次郎またの名を「書生常」の大兄ィ、生まれついての器量よしに女ざかりの色気を加えた「振袖おこん」ことおこん姐御、それに天切りの松のお師匠、駒込は目赤不動のお守りとゲーリー・クーパーの写真がワンセット、映画スターじゃねえのがふしぎなくれえの黄不動の栄治の面々の、他人様の懐から銭金をかっぱらうのが盗ッ人だが、そんな一言で言い尽くせるほど安かねえ、そんな悪党ぶりをば見さしてもらうのも悪かねえと思いやす。
「今の世の中は何をさておきてめえの身が大事。次が家族で、その次が他人。したっけ昔の人間、…その順序が逆様だった」(現代の日本人、なにかと言やァ、金、金、金。自分だけ良けりゃそれでいい。嫌んなるねえ)とは言え、昭和という時代を生きてた男たち、やっぱり「女に比べりゃあ、男ってのは心もおつむも単純」でしょうがねえ。良いか悪いか別にして悲しいねえ、相沢中佐。
さて、天切りの松の高調子はますます熱を帯びる。「さあて、勿体もてえげえにするか」なんてこと、私は言わない。後は本を読んでいただきやしょう。「散りまどう花の緞帳の向こうで人生を定めた男の姿」…、ばかだねぇ、「せいぜい贔屓にさしていただきます」。ただちょっと、ラスベガスへ行き過ぎかな。暑さに涙も笑いも乾いてきたような…
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Comments
( ̄□ ̄;)
な・な・なぜに突然べらんめえ調・・・
説教強盗・・・モノの本でしか読んだことありませんがオレオレ詐欺のようになにか定型があるんでしょうか?オレオレ詐欺の200万倍くらい話術に長けてないと成功しないような気も・・・
Posted by: koolpaw | Jun 11, 2005 at 21:10
koolpawさん、おはようございます。
今回はべらんめえ調の講座と致しました(笑)。
ところで、「説教強盗というのは、大正の終りから昭和の初めにかけて、東京の新宿、中野、練馬辺りに出没した強盗。強盗に入った先で「犬を飼っておけ」「戸締りはキチンとせよ」などと防犯上の注意をするので説教強盗と言われた。当然ながら金品は盗んでいく。」と云うもので、「オレオレ詐欺の200万倍くらい話術に長けて」なくてもいいような気もします。dより
Posted by: dawn | Jun 12, 2005 at 08:38
なるほど!「説教」が強盗の手口なわけでなく強盗のおまけに説教して帰っていくわけですか!
って・・・なんだそりゃ。
( ̄□ ̄;)
話術は必要ないけど少なくとも姑息なオレオレ詐欺の200万倍はペーソスにあふれてますね。つーかヤな強盗だなそれ。
Posted by: koolpaw | Jun 12, 2005 at 14:17
koolpawさん、こんにちは
そう、結構嫌味な強盗ですよね(笑)。でも、ここに出てくる寅兄ィはあくどい稼ぎをしている奴を狙う説教強盗、余程度胸がなきゃ説教なんてしてられないような先を狙ったようです(話の上ですが、笑)。dより
Posted by: dawn | Jun 12, 2005 at 17:44
いったいいつになったら天切り松は映画化されるのでしょう?
わたしは心から待望しています。
左とん平の舞台はどうであったか?
札幌でやる予定はないのかしら?
Posted by: 登内誠一 | Mar 04, 2006 at 19:25
登内誠一さん、こんばんは
「天切り松」映画化。ほんと、誰かやってくれないかなァ。私も待望してます。dより
Posted by: dawn | Mar 04, 2006 at 21:12