「趙紫陽氏の死」
■朝日新聞(1/18付)社説『趙紫陽氏の死――「天安門」からの16年』について
趙紫陽氏は、中国共産党総書記でありながら、1989年春の中国の民主化運動で、天安門広場のハンスト学生を見舞うなど、民主化運動に理解を示し、それ故に失脚した人物である。中国共産党は、政権の正統性を揺るがしかねない趙紫陽氏の名誉回復と天安門事件の再評価をしていない。
その「趙紫陽氏の死」に対する朝日新聞社説は、『外交や軍事政策を透明にし、民主的な価値を共有できるような国として信頼感を持たれることは、中国自身の利益ともなるはずだ。天安門事件とは何だったのか。それを改めて見直すことが出発点となるだろう。 』と結んでいる。また、現在の住民の衝突や暴動についても若干触れている。
しかし、『ひとつ間違えば共産党による独裁体制を揺るがしかねない事態だった。 だからこそ、共産党は武力弾圧を辞さなかったし、趙氏を解任した。国際社会の厳しい批判にもかかわらず、いまもそれを正当化し続けている。』、『中国の国際的な影響力は、天安門事件当時とは比較にならないほど大きい。』などと記している。
私の読解能力の低さの故かもしれないが、どうも「天安門事件当時、中国の国際的影響力は小さかったし、国を揺るがす大事件だったので、学生や市民を弾圧(戦車等で殺害)したことや、学生たちの民主化運動に理解を示した趙紫陽氏を失脚させ、事実上の自宅軟禁を続けたことは已むを得なかった」と言っているようにも読める。また、「天安門事件」をどう見直すのか、結びの文章は不明瞭に思われる。これでは、「(時節柄)朝日新聞は中国等の共産主義国にも注文を付けることはあるのだ、と形は作った。でも、中国共産党さんのことはよく理解してますから、と言っている」ように思う人たちも多いのではなかろうか。
そう言えば、中国国宝展は朝日新聞さんのイベントでしたね。
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Comments
おはよーございますっ!
なんかひさしぶりにNHKの9時のニュース見たら、朝日新聞の例の「政治的圧力」記事に時間をいっぱい割いてたですが。。。イラクのこととか津波のこととかのほうがもっと重要だし、そっちに時間かけれよという気がしましたが。。。
趙紫陽さんどこいっちゃったんだろうと思ってたら軟禁されてた(朝日新聞に言わせると軟禁じゃないのか?)のかー。一回こけるともう二度と復活の目どころか政治犯みたいな扱いうけるのか・・・やっぱ中国はわけわからん。
天安門事件、鮮烈に覚えてます、いろんな意味で。当時死者がでたと報道されたとき(後に「軍の行動による死者はでなかった」みたいなことも言われて何がホントなんだか・・)、「中国は40億(当時)も人間がいるから数十人くらい屁とも思ってない」みたいなことを聞いて背筋が凍った覚えがあります。
当時自分と同じ世代の北京からのエリート留学生達ともとも知り合いましたが、彼らが実権をにぎるようになるときどうなってるんだろう?若い頃に見た自由社会/資本主義へとゆるやかに近づくことをまだ考えるのか、すっかり「中国式」な体制にそまってしまうのか。
本当に近くて遠い国ですねー。報道もそれこそどれを信じていいやら。
Posted by: koolpaw | Jan 20, 2005 09:33
koolpawさん、こんにちは
>当時自分と同じ世代の北京からのエリート留学生達ともとも知り合いましたが、彼らが実権をにぎるようになるときどうなってるんだろう?
まさに、そうですよね。「中国式」な体制にそまらないことを祈りたいと思います。dより
Posted by: Dawn | Jan 20, 2005 11:46