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メディアの構造変化

9/23週刊文春の「経済記事にモノ申す」が書いているテレビ局と制作事業会社との問題は極めて的を得たものと思われます。「テレビで放映されている番組の半分以上は、実は制作会社が作っている。・・・制作会社の役割はますます大きくなっているにもかかわらず、業界での立場は極めて弱い。」「・・・制作事業者が流通ルートやコンテンツの提供方法などを選ぶことができない現状を変えなければならない。」との記述はその通りだと思います。

私もNHKの問題で、『少なくとも放送会社が報道機関だと言うのであれば、自社もしくはグループでエンタテイメント系の「制作」は一切行わないなど明確な体制を取るべきではないのだろうか。』と書きました。
まさに放送会社は報道以外の制作に関して、次のような体制を採れば、若干なりとも報道の質が向上するのではないでしょうか。

『放送会社は制作を行わない。現在下請で苦しんでいる制作会社から番組放映権(原著作権は制作会社)を適正価格で買うほか、その他の番組に関しては「ビデオ・アーティスト」(*)から買う。このようにすれば、その高コスト構造が是正されるだろうし、制作会社等が作品の質で戦う世界となれば、現状よりは余程良質な番組が放映されるようになるだろう。』
と云うことを考えましたが、何も放送会社に任せる必要はないのでした。やっと昨年から映像がネット取引の中で金額として見えてきた。漸く今、ネット放送が現実味を帯びてきた訳です。制作会社やビデオ・アーティスト専用のネット放送会社をどなたか設立してもらえば、その方が良さそうです。まさに湯川さんのおっしゃる「参加型ジャーナリズム」の世界に近いものとなります。

放送会社の将来は、DVDレコーダー、STB、Skype等の普及によって広告型ビジネスモデルが崩壊することを考えれば非常に暗いと言われています。このことは全国紙にも言えるのではないでしょうか。遅々として進まぬ販社や大型設備問題をそのままにして元経済部の記者の方々にメディア担当をさせるなんて可哀相です。一つ考えられるのは新たなメディア形態へ分化していく(資本関係も遮断する)道ではないのでしょうか。

(*)「ビデオ・アーティスト」とは、一人で番組等の制作を全て行う方々の総称です。そのジャンルによって18分類位されており(米国)、日本でビデオ・ジャーナリストと呼ばれているのも「ビデオ・アーティスト」の一形態です。このほか、ビデオ・ドキュメンタリスト、ビデオ・トラベラーなどと呼ばれるジャンルがあるようです。

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Comments

Dawnさん、こんにちは。

市民がメディアから多くの影響を受けるのはいつの世も同じことで、20世紀はテレビの時代ではなかったかと思いますが、21世紀は良かれ悪しかれネットの時代ではないかと思います。
そのように考えると、残念ながら私には想像が付きませんが、テレビや新聞にとって変わる21世紀にふさわしい新たなメディアが登場する(どちらかといえば、登場させるべき)ような予感がするのですが、いかがでしょうか。(「思考は実現する」です、笑)

Posted by: あざらしサラダ | Sep 18, 2004 12:31

Dawnさん
>テレビや新聞にとって変わる21世紀にふさわしい新たなメディアが登場する

とって代わるのではなく、「それらに新たに加わる」のがネットだと思いますが、主役になるにはまだ暫く時間がかかるでしょう。

Posted by: MAO | Sep 21, 2004 01:14

MAOさん、コメント有難うございます。
おっしゃる通り、ネットだけとると「それらに新たに加わる」と云うことになるのでしょう。ただ、将来的にはテレビ、紙媒体等のメディアも分化していくのかどうかは判りませんが、形態を変えていくなかで、新たなメディアが登場してくるのかもしれません。

Posted by: Dawn | Sep 21, 2004 06:31

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